『狂武蔵』からの次回作に向けて…. 今更ながら映画『テネット』観て語ります!!【山口雄大映画塾】

【山口雄大映画塾 feat.坂口拓「TENET」】

これまた夜遅くに、突然太田Pからの電話(太田Pは、決めて思い立ったら即行動の人だから大体突然なんだけどね)

太田「今ね、雄大さんと一緒なんだけど、9/29の夜一緒に『TENET』観て、久し振りの山口雄大映画塾しませんか!?」

9月18日公開「TENET」は言わずもがなクリストファー・ノーラン監督の最新作!

「ダークナイト」(2008)や「インセプション」(2010)、「ダークナイト ライジング」(2012)、「インターステラー」(2014)、「ダンケルク」(2017)などで、毎回度肝を抜く映像とストーリーで、世界的超話題作を次々と発表し続けているノーラン監督なのだけど、習慣的に映画を観ない人でも「聞いた事ある!」ってタイトルが数本あるのではないでしょうか?

クリストファー・ノーラン監督は監督2作目の「メメント」(2001)がインディペンデント映画として世界的ヒットを飛ばしたことがきっかけで、日本でも注目されるようになりましたが……その「メメント」、構成がまず難解だった……(当時、屋敷にはね)。

「主人公とその妻は強盗犯に襲われ、妻は死亡。主人公は頭部損傷から、たった10分しか記憶を保てない状態になる。そんな主人公はポラロイドにメモを書き、身体中にタトゥーを刻みながら犯人を探していく」……ストーリー聞くとシンプルでしょ?

これが実際は「時間を遡(さかのぼ)りながら」物語が進展するの(驚)!!

凡人頭の屋敷は当時大パニック(苦笑)。傑作だし、めちゃめちゃ面白いのに、他人に全然説明が出来ない(苦笑)。

「インセプション」なんて、

「他人が眠ってる間に夢に入り込み他人のアイデアを盗む」話しなんだけど……これまた夢の中が多層構造になっていて、深い夢の層に入れば入る程、現実の時間軸と大きくズレが生じるっていう、ね……今でも書いてて頭こんがらがって来たぞ(苦笑)!!

公開直ぐ映画館で「インセプション」を鑑賞し、直後に感想を求めて来た先輩に「どうだった?」と訊かれ、

屋敷「えっと、えっと……全員よく寝てる映画でした!」

先輩「お前小学生か」

と、呆れられたものです。

とにかく、今回は「難解だよ!助けて雄大監督!」という私情も込めて、

山口雄大映画塾 feat.坂口拓&太田P 「TENET」編、開校~!!!!!!

9/29(火)、また待ち合わせ時間より随分早く、全員「TOHOシネマズ新宿」に集合。仕事バリバリ出来る人たち程、絶対に遅刻しないのよね~不思議と。

雄大さんと拓さんは、既に「グランドシネマ サンシャイン」の正規サイズのIMAXスクリーン(※)で一度鑑賞済。屋敷も通常スクリーンで一度鑑賞済。太田Pはこの日が初鑑賞。4人で「TENET」ワールドにどっぷり浸かった後に、歌舞伎町のジンギスカン専門店「羊一」さんで舌鼓を打ちながら、この「TENET」についてお話し頂いた!

雄大「クリストファー・ノーランってこれまでの作品を見ても明確にわかるんだけど、一貫して“時間”というものを、大きなテーマとして扱っているんだよね」

屋敷「発想の原点って、のび太の勉強机的なものなんですかね?」

雄大「そうなんだよ!発想を思いっ切り簡略化すると“ドラえもん”なんだよね!2014年公開の『インターステラー』にも、根幹には“ドラえもん”感あるからね」

屋敷「……その発想がノーランの手にかかり、多角的に映画化されるとこうなっちゃうんですかね……私の中では、絶対に一度観ただけでは到底理解出来ない作品ばっかりなんですけど(苦笑)!」

雄大「僕は今日で二回目の鑑賞だったんだけど……、一回目観た時にね、“理解しよう!”として、自分の中で“○○はアレなんじゃないか!?”とか勝手に予測を立てて観てたら、ワケが分からなくなったわけよ(苦笑)!だから今日はね、自分の中で“何かを決めつけて観るのを辞めよう!”って。それに冒頭で出て来る研究所の女性が、“考えるな、感じろ”みたいなことを言うじゃない?だから、その台詞に観客の自分も順じて、あえて“理解しようとせず”観てたんだよ。そうやって観てても『TENET』は面白く作ってあるんだよね!」

屋敷「じゃあ、あの“考えるな、感じろ”的な台詞が、観客に対するノーラン監督からの唯一の楽しみ方の説明だと受け取って良いんですかね?」

雄大「そうなんだよ」

この辺りから、一番下座に敢えて席を取ってくれた拓さんが、全員のお肉を焼いてくれ始める……(すみません!!!)。そして改めて思うのは、面白い映画を観た後の酒は格段に旨い!!

雄大「ノーランの過去作品もそうだったように、多くの映画ファンや専門家がさ、“この映画の解釈はこうだ”とか“このカットにはこんな意味があった!”とか、『TENET』を解説した動画をYouTubeにあげたり、文章で発表したりするじゃん?」

屋敷「実際、既にかなりの数あがってますよね(笑)」

雄大「でしょ(笑)!?だから今更僕がどうこう解説する必要もないし、難解だから僕もそういった解説動画観たりするんだけど。僕が言いたいのは、内容の奥深さもそうなんだけど。……200億くらい掛けてさ、この映画を撮れる環境を作ったクリストファー・ノーラン自体の凄さじゃない!?」

坂口「え!?200億掛かってんの!?」

雄大「もし、『TENET』を『ダークナイト』(08)の前に無理矢理作ったとしても、世界に受け入れられなかったと思うのよ」

屋敷「確かに。観客は付いて行けなかったでしょうね、難解過ぎて。ノーラン作品の入口にするにはハードル高すぎ問題……」

雄大「そこがね、ノーラン監督による計画的なものなのか否か、これは推測でしかないんだけど……『ダークナイト』(08)があって、『インセプション』(10)があって、『インターステラー』(14)が続くわけですよ。そうやって観客を教育して、育ててるんだと思うんだよね」

屋敷「な、なるほどーーーー(興奮)!!!!」

雄大「ノーランからしたら“俺の映画を一回観ただけで理解出来ると思うなよ!”っていう考えが根底にあった上で、今列挙した映画と作って公開していく過程で、観客を育てて来たと思うんだよ。で、教育した上でね、いざっ!っていうこのタイミングで『TENET』をかましてきたわけじゃん!?この難解中の難解な映画をさ」

屋敷「難解過ぎて、こうして困ってます(苦笑)!」

雄大「もはや、観て直ぐ分かるようにも作ってないじゃん(笑)!?もうさ、“俺の映画は必ず2回、3回と観るんだぞ”って状況を監督自らが作って、お客さんも“ノーランの映画は何度も観る映画”って理解した頃合いで、この映画をぶつけてくるわけじゃん。そんなクリストファー・ノーラン監督のビジネスセンスというか、プロデュース能力に感服してしまうというか……こんなことやってのけた人、居ないでしょ(苦笑)!?」

屋敷「……思いつかないす……。過去の作品はノーラン監督の独自の色は濃く出しながらも、お客さんに受け入れられる様に作ってたと思うんですけど……」

雄大「そうだよね、『TENET』はもはや受けいられようとしてないよね(笑)!?」

屋敷「そうなんですよ(笑)。段階を踏んでる中でも、特に『ダークナイト』なんかは、大衆的というか万人が面白いと感じられる映画でしたよね。魅力的なジョーカーが居て、分かり易い見せ場もある。大衆的でありながら、かつて観た事がないバットマンシリーズだったと思いますね」

雄大「続く『インセプション』も受け入れられたけど、『ダークナイト』程ではなかったじゃない?映像の斬新さは凄かったんだけどね!ストーリー構造が『インセプション』は凄く難解じゃん?」

坂口「南海(難解)ホークスね!」

雄大「うるさいよ(笑)!」

全員「(笑)!」

雄大「話し戻すね(笑)。『インセプション』は映画として凄く難解な内容ではあるんだけど、あの映画だけはCG駆使してるでしょ?ノーランってCGを使わない実写主義であることが売りになってるところもあるんだけど、別に“CG嫌い”なわけではなくて、効果的に狙ってCG使ってるだけなんだよね。特に『インセプション』場合は、内容が難解な分、観客があ!っと驚くような映像を作ったんだよね!」

屋敷「確かに、ストーリーは全く理解出来なかったけど、視覚的アトラクションの楽しさは充分ありましたね!」

雄大「そうそう!そこが面白いからさ、内容に付いて行けなくても映画自体楽しめるじゃん!それに比べて今作の『TENET』はさ、内容も分り辛いし、CG的に凄いカットも無いっていうさ、そんな映画を世に出して来たわけじゃない?計画性がどこまであるのか知らないけど、本人もそんなこと発言しないしさ、それでも彼のこのフィルモグラフィーを見ると、やっぱり感服なんだよね。凄いよ……凄いよね!」

屋敷「十数年掛けて観客から育てるなんて、日本では考えられない……(ボソッ)」

雄大「無いよね(苦笑)」

坂口「クリストファー・ノーランの映画ってさ、凄過ぎて俺嫉妬心すら湧かないからね(笑)。だって無理だもん(笑)!!」

屋敷「拓さんも雄大さんと2回、この『TENET』鑑賞したわけですけど、正直な感想どうでしたか?」

坂口「やっぱ面白かったよ!!内容の全ては理解出来ないけど映画の大枠だけでも面白いし、例え内容に置いてけぼりにされても観てる人間の感情を盛り上げるっていうかさ。上手いよね!!」

雄大「そう、上手いんだよね~!理解出来てるかどうかは置いといて、映画が盛り上がってるかどうかは凄く良く分かる!いや、あれよ?“映画の盛り上がりが伝わる”って凄いんだよね!?」

坂口「そういうこと!凄いことなんだよ!」

雄大「だってさ~盛り上げたくても盛り上がらない映画、めちゃめちゃあるんだから(笑)!」

全員「(笑)!!」

雄大「ストーリーの導線が分からないから明確に言えないんだけど、音楽でループ再生してるみたいな音が入ってる音楽あったの、気付いた?」

屋敷「気付きました!!」

雄大「その音楽が使われているシーンが数か所あったのは確認出来たんだけど、特に前半の“時間を逆光している人間”が出て来た時に、ループ曲が流れていたんだよ。だから、何らかのサインとして音楽を入れてると思うんだよね~」

屋敷「私一度目観た時に、映画音楽の量が異常に多いのと、ボリュームが大きくて驚いたんですけど」

雄大「そうそう!」

屋敷「全編音楽を強めに流すことで、最初の話しじゃないですけど“考えずに感覚で観る”って方向に促す効果なのかと思ってました!サイン!!なるほどーーー!!スゲー!!!」

拓さんはこれまでの間もずっと額に汗浮かべながら美味しくお肉を焼き続けて下さいました。「みんな~それミディアムレアでワサビが美味しいよ!」とか……優し~。

さぁ!ここから拓さん中心にもっと深い感想訊こうとしたら話しが大脱線(苦笑)!

もうすっかりお酒もまわり出来上がっちゃって(笑)映画「TENET」談は少々不完全燃焼であったものの、先に知り過ぎるのも「考えるな、感じろ」を邪魔してしまうかも知れないので、結果丁度良かったということにしておきましょう!(WiiBERブログ、ポジティブじゃないと書けない笑)

もし、このブログを読む前でも後でも「TENET」鑑賞された方がいたら、是非感想お聞かせ下さいね!!お待ちしてます!!

(※)

クリストファー・ノーランの映画の多くはIMAXフィルムで撮影されている。「IMAX(アイマックス)ってあの綺麗で大き目なスクリーンのことじゃないの?」と思われた方、素晴らしいです。「IMAX」はカナダのIMAX社が開発した映写システム及び、動画フィルムの規格。映写システムに関してはデジタルとか、レーザーとか、色々あるので省いて(上手く説明出来る自信なし!)IMAXフィルムのサイズと、IMAXスクリーンの大きさについて書いておきたいと思います。

めちゃ簡単に言うと、映画とは1秒に何十枚の写真が連なり、情景や人物が動いて見えるという原理の上に出来てますが、「IMAXフィルム」はその一枚一枚がめちゃ大きく正方形に近い形、更にめっちゃ綺麗!!というわけです。

しかし、多くの方が観たことある「IMAXシアター」って横長長方形じゃないでしょうか?……そうなんです、実は本当は撮影されてるのに見えてない画が一杯あるんです(涙)!

この正方形に近い(縦横の比率1.43:1)サイズで更に超高画質という映像を楽しむ為に作られたのが「IMAXレーザー/GTテクノロジー」で、スクリーンサイズも高さ18メートル×横幅26メートル(もはやビルサイズ笑)という巨大さ!!!このスクリーンでのみ、ノーラン監督が撮った画を余すところなく楽しめる、というわけです。

しかしここで注意事項が。このスクリーン、実は日本で二か所しかまだありません(泣)。

・グランドシネマサンシャイン(東京都池袋)

・109シネマズ大阪エキスポシティ(大阪府吹田市)

観れない地域の方が多いとは思うのですが、映画好きの方なら、東京・大阪にお出掛けの際に観光コースに入れても価値あると思ってます。映画への没入感が尋常じゃない!!!

ちなみに今回はTOHOシネマズ新宿のIMAXシアターで拝見したのですが、IMAXスクリーンでは本編上映前に、音響システムを説明する映像が流れるんです。針が落ちる音や、飛行機の大轟音が体験出来る音響宣伝Vなのですが、上映直前に買った味付きポップコーンの袋を振る(味が行き渡るように)大切なタイミングを逃した拓さん。

その飛行機が跳ぶ「ゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォ!!!!!!!」という音に被せて、「ガサガサガサガサ!!!」ってポップコーンの袋を振ってました(笑)。

最後に、太田の時間に対する考え方と、次回作に向けて少し語ります。

時は、過去→現在→未来に流れるのではなく私、太田は「未来から過去に向かって時は流れている」と考えております。。

おいおい!どうした?

テネットギャグ?

って思いましたよね?

でもねギャグでもないんですよ。。

「先月」って、前月の事なのに『先』って言うでしょ(笑

時計って江戸時代までは針じゃなく文字盤が動いてたんですよ。

いやいや太田!何が言いたい?どういう事?

皆様の突っ込みの声がさらに大きくなりましたね。。

要するに何がいいたいかと言うと「狂武蔵」から次作に向けて始動しましたよ!という話。僕は映画業界の人間ではありません。プロデューサー業の仕事も「狂武蔵」と「たくちゃんねる」だけです。そんな男に1から映画が作れるの?

出来るんです。過去の職歴、実績なんて関係ないんです!!という事を言いたかった訳で。

庭に蒔いた種が花を咲かせるかどうかを決める原因は過去にはない。未来の天候次第。

目的地(=未来)にピンを立ててナビを設定すると、勝手に最短ルートが浮かび上がりますよね。

途中でルートを誤っても、再検索を繰り返し、吸い込まれるように目的地へたどり着くじゃないですか!

つまり大切な事は、まず目的地にピンを立てる事。だから時は、過去→現在→未来に流れるのではなく、未来から現在に向かって時は流れているという事を言いたかった訳なのです。

ここに公言しておきます。

株式会社WIIBERは次回作に向けピンを立て準備に入りました!!皆様面白い映画を作りますよ‼️今後も応援宜しくお願い致します。

太田誉志

“『狂武蔵』からの次回作に向けて…. 今更ながら映画『テネット』観て語ります!!【山口雄大映画塾】” への3件のフィードバック

  1. Sy より:

    雄大監督の映画塾、楽しみにしてました。とてもわかりやすく、映画の楽しみ方の参考になるので大好きです。是非またお願いします!!
    そして、次回作…もう本当に楽しみでしょうがないです!
    皆様これから寒くなりますので体調には充分お気を付けて制作等頑張って下さい。

  2. 乾 亜矢 より:

    TENET 茉琴ちゃんのツイートを見て見に行きました。娘に感想を求められ「時系列関係で考えたら難しい…でも面白かった」と私の口から出ました。考えてたら置いてかれるので考えるのを途中でやめて映画を楽しみました〜笑笑。映画の知識のない私で失礼なんですが屋敷さんのコメントに「そうそうそう」「せやねんせやねん」と同調させて頂きました。
    拓氏のうんうんと頷きながら淡々とお肉を焼いている姿が想像できました。(素敵)

    塚口サンサン劇場でも太田P氏が話してくれたピンの件 心に響いてます 死ぬまでにしたい事イッパイ立ててますよピン 太田P氏や拓氏に負けてられないっていつも張り合い心を頂いてます。ありがとうございます。

  3. きき より:

    クリストファー・ノーラン監督の映画とても好きです。相対性理論、エントロピーの増大の法則のTENETやインターステラー、インセプションが特に好きです。
    描写とサウンドも絶妙なバランスでクリストファー・ノーランの世界に引き込まれ何度も観たくなります!
    TENETの中で過去から未来、未来から過去の映像ではどっちが過去だったかも分からないように感じました。「TENET」が逆から読んでも同じように。

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