【11.23渋谷ユーロスペース】映画『HYDRA』公開直前インタビュー!主演三元雅芸(坂口拓の弟分・映画RE:BORN フォックス役)園村健介初監督作

先日、下村勇二監督から突然の連絡。

「WiiBERブログ特別編」として、書いて欲しい事が有ると。それは私も是非とも、少しでもお力になれれば、と考えていた作品のことだった。今回はWiiBER全面協力で、この作品について、インタビューも交えながら書き尽くしたいと思う。

2019年11月23日公開

園村健介初監督作品・三元雅芸主演

『HYDRA』

ジョン・ウー監督「マンハント」や押井守監督「東京無国籍少女」、真利子哲也監督「ディストラクション・ベイビーズ」などを始め国内外で数多くの作品でアクション監督・アクションコーディネーターを務めて来た園村氏が満を持して放つ初監督作!!(園村健介さんは、下村勇二監督監督が代表を務める、ユーデンフレームワークス所属。稲川先生のウェイブ解説にも過去何度も出演してます!)そんな記念すべき作品で主演を務めるのが、ジャパンアクションアワード2016で最優秀アクション男優賞に輝き、(「RE:BORN」ファンの皆様にはフォックス役でもお馴染みですよね!)日本のアクションシーンを常に最前線で牽引し続けている俳優の一人である三元雅芸(まさのり)。更に、日本のトップクラスのスタントマン達がメインキャストとして登場する。

アクションを愛して止まない……というか、私からするともはや仙人の域に達している(!)のではかと思える程の動作(アクション)職人・園村健介監督、主演の三元雅芸、そしてスペシャルゲストとして辻本貴則監督をお招きして映画「HYDRA」を語る!!

辻本貴則監督/「ハード・リベンジ、ミリー」シリーズ、「THE NEXT GENERATION パトレイバー」「コードネームミラージュ」など、自身の監督作の多くで園村氏をアクション監督として指名している。

三人それぞれの出逢いはいつ、どんな感じだったのでしょうか?

辻本「園村さんと出逢ったのはオムニバス映画の『KILLERS』(03)ですね。それは……言って良いの(笑)?」

園村「(はにかみ)」

辻本「ガンアクション・ムービー・コンペティションっていうのがあって、そのコンペで選ばれた監督を商業デビューさせようって企画に僕と河田秀二監督が選ばれたんですよ、ラッキーなことに。それがきっかけで製作した映画『KILLERS』で、東京で撮っていた河田監督にお手伝いを頼まれて参加した中で出逢ったのが……麻生健介っていう人(笑)」

園村「(はにかみ)」

屋敷「園村さんは当初、麻生健介名義でアクション俳優を目指していたんですよね!」

園村「はい……(苦笑)」

辻本「その後僕も上京して、『真・女立喰師列伝』の中のバーボンのミキを撮る際に紹介されてやって来たのが、園村健介さんだった!」

三元「僕もおそらくその頃出逢ってますね。既に“園村健介”さんでしたが(笑)。僕は上京当時アクション部としても仕事をしていてモーションキャプチャーの現場で会いました」

辻本「麻生健介話、もっとして良い(笑)!?」

三元「(爆笑)!!」

Q:では「HYDRA」について訊いていきたいと思います。この映画が生まれるきっかけは?

園村「三元さんからですね。三元さん主演で映画を撮る企画があって、そこで声を掛けて頂いた感じですね」

三元「僕に話を下さったプロデューサーから渡されたプロットを、まず園村さんに読んで貰いました。その時には既に園村さんを巻き込む気満々で(笑)。その段階ではかなり手直しが必要なプロットだったのを園村さんと再構築していった感じです。一時期、アクション無しのドラマで~って話もあったのですが、低予算という制限の中で国内だけでなく世界に対する“売り”を考えた時に、やはり“アクション”しか考えられないと。それで更に“監督は園村健介さんに”と、考えました」

Q:公開が迫る中で、辻本監督は先駆けてご覧になったそうですが、一言で表現するならどう感じましたか?

辻本「えらい渋いとこいったな~!!!!!って思いましたね。以前から仕事を一緒にする中で渋い作品好きそうな匂いはしてたけど、初監督でここまで渋いとこ行くんか!って(笑)。“俺売れてやろう!”とか“ウケ狙おう”とかが一切見えない(笑)」

屋敷「あざとさZERO(笑)!!」

辻本「そうそうそうそう(笑)!!」

園村・三元「(笑)!!」

オープニングからして「バイオレンス・ノワール」感がひたひたに満ちているこの「HYDRA」であるが、やはり特筆すべきはアクションシーンのその凄まじさと濃密さだろう。実はアクションエンタメ作品の様にアクションシーンがそれ程多い訳では無い今作。中盤~終盤にある木部哲と川本直弘という日本トップクラスのスタントマン二人の戦い、そして三元雅芸と川本直弘の死闘。その2シーンだけでも観ていて存分に血を滾らせてくれる訳だが、それに加え短いアクションシーンには、園村健介監督も“最強ガチ全裸監督”として、その実力を見せつけている。どのアクションシーンも他に類を見ない戦いになっていて、これを私の貧弱な語彙で表現するのは野暮!不可能!!スクリーンで体感して欲しいのです。

まじ、萌えるから!(変態か)

Q:では辻本監督は「HYDRA」アクションシーンはどうご覧になりましたでしょうか?

辻本「ずっと一緒にやってるから、“ほんまにこんなんやりたかったんや……ごめんね園ちゃん~”って思ってた……」

園村「(笑)!」

辻本「いつも技決める度見えを切らしたり、振り返って決めポーズが欲しいとか言ってばっかりでごめんな~って(苦笑)」

屋敷「本当にウケも狙ってなかったんですか?」

園村「そうですね。“不親切で良いかな”って……(笑)」

Q:園村監督が常に心に留意していたことは何だったのでしょうか?

園村「一回観て終わる作品にはしたくなかったんです。勿論、一回観れば充分だと思う方も絶対居ると思うんですが、映画って好きになったら何回か観るじゃないですか。そうすると細かいことにもちゃんと気付いてくれる。そういうエッセンスは入れました。好きになった人だけが何度も観たくなる映画、そこを目指しました。更に付け加えると、このプロットならば、どんな映画なら“自分が観たい映画”になるのか。予算と公開規模を考えた時に、凄く多くのお客さんの目に届く映画になる保証はどこにもない。だったら自分の観たい映画を作ろう、と」

Q:三元さんは、この作品の主演を担うことに関してどうでしたか?

三元「クランクインする3~4ヶ月前から、ありとあらゆる練習をしました。でも、実際するアクションの手が付いたの撮影の2日前ですからね(苦笑)!!数ヶ月あるなら、先に立ち回りをつけておいて練習する事も出来たわけじゃないですか。でもしてくれない。で、一度練習中に言われたのが“三元さんがどれ程成長するのか待ちたい”って……この人ドSでしょ(笑)!!?」

全員「(爆笑)」

園村「後は、本編監督が初めてだったので考える時間の余裕が無かったのもありますし、相手役の川本君のスケジュールがタイトだったので、当人同士が居る時にアクション作る方が良いなと考えたので、キャストが揃う迄はあえて寝かせておいたっていうのもありますね。僕が普段作るアクションは、どちらかというと演者に対して“押し付けがましい”アクションが多いと思うんです。“こういう事をやってくれ”みたいな」

辻本「監督はみんなそういうもんだけど、アクション監督として他と比べて園ちゃんはオーダーが多いのかな」

園村「今回はオーダーするより、自発性を重視する方が良い人達だったのでいつものアクション演出スタイルとは少し違ったと思います」

辻本「今回、アクション監督が3人(園村健介・川本直弘・三元雅芸)になってる中の、役割とか割り振りはあるの?」

園村「僕は総合的なジャッジや、お題を出す人ですね。それを川本君と三元さんが具体的に作っていき、僕がどれを採用するかを判断していきましたね」

Q:園村さんは、アクションシーンのカット割りから任されてる内に監督もしたいと思う様になったのか、それとも元々いつかは監督として撮りたいと考えていたのでしょうか?

辻本「園ちゃんってみんなで映画の話してても、アクションの事ばかり言わないでしょ?映画全体の話をちゃんとするよね」

三元「確かにそうですね!」

辻本「観た映画についてお互い感想話してる時は“感覚が(監督に)近い”なって感じましたよね。特に自分達が撮る同レベルの予算の映画なんかは“こう撮ったら安い画に見えるんだ”とか、“こう撮るとこんなに効果的なんだ”とか自分が撮る時の感覚に置き換えて観たりする。園ちゃんは昔からその感覚を持っていたから、監督をしたらきっと厳しい予算でも高級感ある画を撮るだろうな、とは思ってましね」

屋敷「実際いつから監督として撮りたいって考えてたんですか?」

辻本「下村さんの影響もある?」

園村「それは有りますね。あとはゲームや映画のビデオコンテを撮る事がアクション監督の仕事として多くあるんですけど、それが予行練習にはなってたと思いますね。シーンの繋ぎとしてお芝居部分も撮ったり演出したり。そういう過程で監督も楽しいな、と」

Q:辻本監督から見る、三元雅芸の魅力とは?

辻本「……実は実際お仕事する前から、三元さんのことはお勧めされてたんですよ」

三元「え?」

辻本「実は『ハード・リベンジ、ミリー』でも話が出てたんですよ(苦笑)」

園村「そうですね!」

三元「えーーーーーー!!??まじっすか!!??僕初めて聞きました(笑)!!」

辻本「園村さんとは別の方にも三元さんをお勧めして貰ってて、『BUSHIDO-MAN』でようやくお仕事が叶ったんですよ。台本もその場で書いたり(笑)商業作品では出来ない“その場で作りあげる楽しさ”を経験させて貰って、その現場で三元さんには最大のパフォーマンスをして貰えた。その時に“この俳優さんは離しちゃいけない”って思って、作品を撮る度に三元さんに入って貰う様にしてるんです」

三元「めっちゃ嬉しいです、めっちゃ嬉しい!」

Q:今作異例なのが、スタントマン達がキャストとして素晴らしく輝いていることだと思います。スタントマンをメインキャストとして起用した理由は?

園村「(アクションを)そこまでのクオリティにもっていける俳優ってなかなか居ないじゃないですか。あと正直、僕がやり易いかどうかっていうのも大きな理由ですね」

屋敷「アクションの力量だけでなく、人間性も含め……?」

園村「僕がこんな人間じゃないですか……(苦笑)」

辻本・三元「(笑)!」

屋敷「読者が分かる様に表現するなら(笑)?」

園村「……世界トップクラスの人見知りじゃないですか……(苦笑)」

全員「(爆笑)!!」

屋敷「じゃあ初めて組む俳優とやり取りするとか、酷ですか?」

園村「酷……ですねぇ、心開くまでが大変です(苦笑)」

私が園村さんと出逢って、実は間も無く18年になる。しかも私が初めてアクションに挑戦したインディペンデント映画のアクションチームの一人として居たのが園村さんだった……私が24歳、園村さんは21歳位だったかな。麻生健介から園村健介になり間もない頃、当時は毎日アクションチームを捕まえては練習させて貰い、アクション映画について教わる日々。映画の撮影が終わってもみんなで練習したり、飲んだり、映画観たり。トニー・ジャーが来日、映画イベントに出ると聞いてはみんなで朝から映画館に並んだり(笑)、そうこうする内にみんな映画界で欠かせない人間になっていった。書ききれない程園村さんの想い出はある。で、こんなに長い間よく知った仲間なのに……お互い仕事で会う機会が無く一年振りとかに会ったりすると……私にまで人見知りする(笑)ホンマどういう事!?全然目を見てくれなかったり!いつになったら馴れてくれるのよ、園村さん(笑)!!!!

Q:「Hydra」には80年代映画感が溢れていますね。

屋敷「冒頭からのブレード・ランナー感(笑)!!」

辻本「ブレランだったね~(笑)」

園村「台本に少し弱さもあったので、それを補強する為にスパイス……というか、特徴ある空気感を足す必要があると思ったんです。例えば『ドライヴ』(12)の様な作り方をするしかないな、と」

屋敷「私の初見の印象は、ドライヴとアジョッシとブレランの煮込み」

辻本「実際『ドライヴ』と『アジョッシ』の話は昔からよくしてたよね!」

屋敷「では、自分の好きな要素を盛り込んでみた?」

園村「そうですね。あとは80年代の映画って違う世界に行った気になれる映画が多くあるじゃないですか。その感覚が好きですね」

屋敷「オープニングは韓国ノワールの香りしましたね」

園村「そうですね、序盤に関しては映画ではないですが『北九州連続殺人事件』のルポが記憶にずっと頭にあって、それを参考に書いたりしました」

Q:これからどんな監督を目指していくのか。

園村「自分で例えるなら、僕は大量生産出来る工場ではなくて、『下町ロケット』的な、“一生懸命ネジ作ります!”な方かなと。その方がドメスティックにアクションが作れるじゃないですか。大作になると仕事も多岐に渡ってしまって、肝心なアクション作りに時間を割けなくなる。ここで難しいのが、ある程度売れないと権限(決定権)が持てない、でも売れると自分の好きなことを全ては出来なくなってしまう」

辻本「バランスは難しいよね」

園村「なので、僕は新しいことをやり続けるしかないと思ってます。モチベーションとして出来なくなってしまうので。方程式に当てはめてやってると逆に幅を狭めて不自由になってしまう、苦しくなって来ちゃうんですよね。理想は、アクションやり始めた当初みたいな、何をやっても発見ばかりで楽しかった、あの感覚を持ち続けながらアクションを作り続けていきたいと思いますね」

三元「実は僕もアクションが楽しいと思えない時期があったんです。さっきの方程式の話じゃ無いですが、“ここはこうやればOKが出易くなる”といったことが分かって来しまって、何を練習して良いのかさえ見失っていた時期があったんです。それを園村さんは、簡単に型押しで箱(アクション)を作るのではなく、箱を繋ぐ小さなネジを作る、更にその角度を細かく調整する作業を課した訳です。それが積み重なったからこそ、あの新しいアクションシーンが生まれたと思います」

Q:観客代表として辻本監督、「HYDRA」の見どころを教えて下さい!

辻本「園村さんが監督してるから、やっぱり“アクション見てくれ!”みたいになっちゃうんだけど、それだけではなく作品にちゃんとドラマがある。人物の感情が流れて爆発し、それがアクションに繋がるわけでね。だから宣伝になるとアクション推しになっちゃうのは分かるんだけど……“アクションばっか見るんじゃねーぞ!!”ってことかな!!」

皆さん、絶対見逃さないで。

孤高を恐れぬ園村健介監督の誕生の瞬間、一緒にスクリーンで目撃しませんか。血が滾るアクションシーンに、共に息をのみませんか。

園村健介初監督作品『HYDRA』

公式ホームページはこちら

↓↓↓↓

https://hydra-no-ken.com/

youtubeのチャンネルリンク

『HYDRA』公式YouTube

チャンネル登録よろしくです!!

https://www.youtube.com/channel/UC3ihvisn9mBumJNm5EJp1Eg

11月23日(土)遂に公開!!!!!

21:00〜舞台挨拶

上映時間は21:05〜22:35を予定しています。

11月23日〜29日まで

1週間の限定レイトショー

【毎日トークイベント開催予定!】

オーストラリアで開催された

International Action Film Awards』

ベストアクションチーム部門

8月度グランプリ受賞!!

皆様、日本最高峰のアクション職人が作った映画『HYDRA』宜しくお願い致します。

WiiBER代表取締役 太田誉志

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