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ブログ坂口拓主演 『狂武蔵』製作裏側【”高温多湿”で埃まみれの現場】4人のフォーリーアーチストが凄すぎた!(足音編)
『狂武蔵』の製作もいよいよ大詰め!
今日のブログは『狂武蔵』のプロデューサー太田が書きます。宜しく御願い致します。
(フォーリーとは?
映像収録時に録音された音を使用せず、後で録音スタジオで音を入れる作業工程や手法の事をフォーリーと呼ぶ)
角川大映スタジオ(かどかわだいえいスタジオ)「角川大映撮影所」となってからの歴史は浅いが、1933年(昭和8年)「日本映画多摩川撮影所」以来、86年以上の歴史をもつスタジオ。数々の名作がここで生まれました。
『狂武蔵』は7年間お蔵入りでしたが、8年目にして”角川大映スタジオ”でようやく完成します!ファンの皆様お待たせしました!先ずは10/15.16.17日の3日間、『狂武蔵』フォーリー作業の裏側を皆様にお届けしたいと思います。
*フォーリー 3日間
*アフレコ 1日間
*MA 2日間
(アフレコとは?
アフター・レコーディングの略で、撮影後に俳優の台詞(声)だけを別途録音すること)
(MAとは?
編集が終わった後の映像にセリフ、効果音、音楽などを入れる作業。映像作品における音の最終調整)
6日間で終わらすぞ!時間はかなりタイトです。”ガメラ”に手を合わせ「無事に終わる事を祈ります」ここだけの話、スタジオ使用料だけで250万円。もう一度言います スタジオ使用料だけで。。延長料金が恐ろしや……。まぁ冗談です!覚悟は出来ておりますのでご安心を!!
製作初期「『狂武蔵』の規模(低予算映画)で、角川スタジオで録音!? 太田P大作でも作るんですか?」と、関係者から心配もされました。要するに「お値段高過ぎませんか」と言うお話。確かにその通りなのですが、坂口拓は『狂武蔵』を最後に、俳優業を引退します。彼が役者人生を語る上で『狂武蔵』の話は必ず出ます。完成まで8年という月日が経ちましたが “角川スタジオ”で録音すればクオリティの高い仕上がりになる。箔も付く。格好良く狂武蔵を世に出してあげたいなと。
(製作初期はそう思っていました。学んでいるうちに角川でやったからといい箔がつく訳でもないし、格好いい訳でもないのですが…もちろん他でもクオリティの高い録音は出来ますので悪しからず。当初は勉強不足でした)
(クラウドファンデイングで780万円、運営会社に18%支払いましたので640万円を狂武蔵の製作費に使わせて頂きました!改めて有難う御座いました!追加で1000万円僕も出し、素晴らしい作品に仕上げますので、皆様引き続き応援宜しく御願い致します)
さらに、この怖そうなお方(優しいです…) 音響効果技師の柴崎憲治氏。業界で知らない方はいないでしょう。「柴崎さんに音を作って貰える!」と業界関係者に、製作中期に話をすると「角川スタジオで音を録音し、効果音を作るのが柴崎さん⁈」『狂武蔵』を仕上げるんですよね!?”大作” 作るんじゃないですよね!と笑われた事も…。更にCGは白組(大作ばかりを手掛ける日本が誇るトップクリエイター集団)さんです。と言ったら、失笑された事を昨日の事の様に覚えています。どうせなら爆笑して欲しい。(あくまでも予算の心配をしてくれているのだが)
ですが、いいんです。。
本作は"宮本武蔵”を演じる”坂口拓”が吉岡一門相手に588人斬りをするのですが、出演したアクションマンは、実は50人もいません。10回以上ローテーションして武蔵に襲いかかります。斬られても、次の配置につく為その場で死ねません。斬られた後、さり気なくフレームアウトします。その為、「斬られてその場で崩れ落ち死んだ!」という効果音だと映像に違和感が生じます。なので今回、柴崎さんには”撲殺音”を作ってもらい、”骨が砕け脳天が潰れた様な音”をオーダーしました。
“宮本武蔵”に倒される”吉岡一門”は、骨を砕かれ痛みに耐え苦しむ。結果、フレームアウトとなった。この演出プランを具現化する為には、柴崎さんしかいない!!超多忙の中、引き受けて頂き大変ラッキーでした。と、いう事でスタジオ代”約250万円” 音響の魔術師『柴崎憲治氏』に支払う費用が○○○万円、もはやプライスレス!
「大作作るんですか?」と、遠くからまたまた聞こえます。要するに「お値段高過ぎませんか〜規模の割に」とね。しかし!先程も言いましたが、坂口拓が俳優業を一度引退するきっかけとなった『狂武蔵』です。費用はかかりましたが素晴らしい仕上がりになるはずです。皆様、楽しみに待ってて下さいね。
(この裏側は後日『たくちゃんねる』に動画を投稿し、記録に残したいと思います)
さて、ボスに(柴崎憲治氏)挨拶も済ませフォーリー作業密着開始!いよいよ中に入ります。
下村勇二監督は他作品の撮影の為、約1ヶ月間東京にいません(早く帰ってこ~い!)。フォーリー作業とMA作業は柴崎さんの指揮で仕上がります。
フォーリースタジオ(広さは約20畳)の中に入ると、さまざまな小道具が用意されています。
コツコツと音のする靴や、雨音やシャワーの音を再現するじょうろ、床を歩く音を再現する為のフローリング、手のひらに霧吹きの水を吹きかけ、木の板にペタペタと打ちつける事で、裸足で床を歩く音を再現したりと、フォーリーアーティストが作り出す世界は、現実社会から掛け離れた夢の世界。まさに夢の国だな~と……この時までは思っておりました。。
スタジオに入り3分後、室内が、ああ暑い!湿度が、たた高い。作業中は全ての音を遮断する為、エアコンは当然切ります。10月なのにクソ暑い!真夏だったらサウナだなと想像しながらカメラを回していると、大ベテランの渡部さんが、太田Pマスクしないと大変な事になるよ!とマスクを頂く。
(若手が直立しています。柴崎さんを知らない方で、この人が柴崎さんですと紹介したら疑う事なく秒で信じる事でしょう。その位の存在感!)
話を戻すが、狂武蔵の映像を流しイヤホンで音を聞きながら、宮本武蔵の足音を華麗な足捌きで録音していく。スタジオ内は一瞬で埃まみれ。大ベテランの渡部さんが仰った「マスクしないと大変な事になるよ!」の意味が直ぐに分かる。目をショボジョボさせながら、太田はカメラでフォーリーアーティストを撮る。(この為にiPhone11 ProMaxを購入!超広角レンズで撮るぞー)
2分後……。
こうしてリアルな音が作られているのね。
上手いな~!
5分後……。
えっ!汗ビッショリ。
8分後……。
いやいや長い!動きが止まらない!滝の様な汗!!
そうです『狂武蔵』の殺陣は77分ワンシーン。この作業が7時間続くのです。これは大変な作業!高温多湿の中、埃まみれになりながら、右に左にと小刻みに地面を強く蹴って音を作っていくフォーリーアーティスト。
武蔵の足音を演じて10分後……。
1分間のインターバル。咳き込みながらお茶を体内に流し込みまた再開!
今度は、武蔵以外の吉岡一門の足音を4人で演じ音を重ねていく。たった4人のフォーリアーティストの方達で吉岡一門588人の足音を演じている!!録音中は吐息音も高性能マイクが拾う為、息を潜めて撮影に挑む為”完全無酸素運動”になる。物凄いお仕事だ!彼等がいるから映画に厚みがでるのです!
太田の目の前にいる方達は、もはや『アベンジャーズ』にしか見えん!現場環境は最悪である。しかしこの方達が我々映画好きに夢を見させてくれている。感謝でしかない。
ハリウッド映画の約8割は、効果音が足されています。(理由は、撮影時の効果音をそのまま使用すると、吹き替え版を作るのが難しくなる為)。効果音はコンピュータで合成される事もある。だが、映画で使用する効果音にはリアルさが求められる為、自然の音を使うことが多い。
どんなに性能の良いコンピュータが開発されても、人間が映画を作っている限りフォーリーアーティストの仕事は無くならない事をこの目で確信してスタジオを出ます。
太田はイヤホンを耳につけている為、スタジオ内の会話がイヤホンを通じて聞こえてきます。これだけの重労働です、ネガティブな言葉の一つくらい出るだろうなと思い聞いていると……
フォーリアーティスト達が交わしていた会話の内容は予想に反し、
「坂口拓さんこれを77分か!凄いな!ほんと凄いな!!」
滝の様に汗を流し、埃まみれになりながらフォーリーアーチスト達が交わしていた会話の内容は、ネガティブな言葉とは程遠い『坂口拓』に対する労いの言葉でした。
人間『坂口拓』。時に意見がぶつかり喧嘩もしますが、彼が生命を削った『狂武蔵』ほんと良く頑張った。8年越しに完成させ世に出しますので皆様宜しくお願い致します。
フォーリーアーチストの職人さんに差し入れと挨拶をし今日は帰りました。
明日も朝10時から夜10:00(予定)まで、今度は”刀音”だけを録音します。裏側密着は『たくちゃんねる』で、フォーリーアーチストのお仕事ぶりを画角に収めて年内に発信しますので、皆様お楽しみにぃ!
拙い文章失礼しました。 太田P
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最高です。素晴らしいレポートです!
効果音って、現場で無かった音(切った音とか)を追加するだけじゃないんですね。
用語の解説、公式サイトやwikiへのリンク、スタジオ内の写真、費用等々、すごく分かりやすかったです!
『狂武蔵が完成する』というだけでも泣けるのに、こんなに丁寧に作ってくれているなんて・・・。初めて見る写真と、フォーリーアーティストから労いのお言葉も相まって、既に感極まっております(泣)
大変だとは思いますが、刀音の収録も頑張って下さい!
(もしかしたら、世界一刀音の多い映画になるのでは?ギネスいける?)
裏側密着の動画を楽しみに待っています!
読み終えて、やはり太田さんには感謝の言葉しかありません!
ありがとうございます!
この狂武蔵の凄さや素晴しさだけでなく、クラファンを開始した頃から映画製作の裏側もちょっと知れて有意義な感じです。
音入れがこんなに大変な作業とは!
そしてみなさんの坂口拓さんを労う言葉もスゴいなと。自分ならグチってます(笑)
スタジオ高いんですね、クラファンの経費も(笑)
でもそれよりも良いものを作ってみんなに届けたいという太田さんの熱意が素晴しいです!
太田さん、本当にありがとうございます!
物凄く楽しみにしています!
熟読させて頂きました。
太田Pの文章からフォーリーアーティストの息づかいが伝わってきましたし、太田Pのお人柄と拓さんへの愛も伝わってきました。
そして、狂い武蔵の現場は表方も裏方も「志」が真っ直ぐな人が集まったアベンジャーズだなと感じました!!
映画好きにとっては、裏方の話も大好物ですので今後も指折り数えて待ってます!!
内容が盛りだくさんで丁寧…
ありがとぅござぃます‼️
裏側のお仕事あってこその表。
表しか知らず、裏側は想像でしかなかった裏のプロのお仕事を知る事が出来て嬉しぃです。
色々な人の想ぃに支えられて作り上げられていく『狂武蔵』に
すでに熱く…涙腺緩んでます(笑)
すごい! 裏側楽しい! そして凄まじい!!
通常どんな作品でも予算ありきになるところ、こだわりや想いで突き動くというか、”憑き”動かされるというか。男気にしびれます。
さらに、それら神レベルな方々に「凄い」と言わしめる拓さんも、それを撮ったチームもやはり本物ですね! 応援していて誇らしいです。
完成がますます楽しみ。
日々の作業もお金も大変かとは存じますが、ゴールまでどうか無事完走してくださいませ。
[…] この日を前後して録られた(効果音収録フォーリー 作業の裏側に密着!)声、音楽、そして撮影現場で同録されたもの含め「音」と名の付く全てが、音響効果技師の神の一人である柴崎憲治さんの手に渡り(超すんごい方なんだから!!!)、ここから完成に向け更なる作業が進められる。スクリーンがゴールとするなら、ようやくゴールテープが視野に入って来る段階にまで辿り着こうとしている映画『狂武蔵』。 […]